くればぁの歩み
1966年(昭和41年)、中河原四郎(現会長)が愛知県蒲郡市に個人創業したのが、
私たちの歴史のスタートです。
蒲郡を中心とする三河地方は、江戸時代以降、棉の栽培と綿織物が盛んとなり、
街の製造業のほぼ半分を繊維産業が占めるほど、
「繊維のまち・三河繊維産地」としての長い歴史と伝統を守り続けています。
17歳でこの地に出てきた中河原四郎は、地場産業の綿布を使った寝具製造工場に勤務。
ミシンによる縫製技術を習得し、やがて縫製会社を自ら立ち上げました。
三河地域には多くの繊維業が集積しており、それらの会社の下請けとして、
当初は布団カバーの縫製を請け負っていましたが、
「四角く切った布を縫いあわせるだけではなく、
もっと技術のレベルをあげ、同業他社との差別化をはかりたい」。
そんな思いから、衣料産業へシフト、婦人服の受託製造を思いつきます。
経験は全くありませんでしたが、お店で婦人服を買ってきて分解し、
縫製の仕組みを研究し、独自で技術を磨いていきました。
1970年 静岡県浜松市北区引佐町に工場新設
1971年 法人化 大幸衣料有限会社 設立
婦人服の受託製造で事業を伸ばそう!
anan(アンアン)やnon-no(ノンノ)など、
ファッション雑誌を片手に、東京のデザイナーズブランドを調べ、
飛び込みで営業をかけ、次々と契約をとっていきました。
高い縫製技術を有することが評判となり、
パリコレに出展する世界的なブランドの縫製も任せられるようになりました。
1979年 愛知県豊川市へ移転
1984年 愛知県宝飯郡小坂井町へ工場移転
そんなある日、旭化成グループの繊維商社から、特徴のあるサンプルを見せてもらいます。
吸水性がよいレーヨン繊維のクロス素材で、当時は主に台ふきんなどに用いられていました。
「これで、何かできないだろうか?」
人々を驚かせる技術力や探究心にこだわる中河原四郎は、
試作を繰り返し、その素材の機能を活かしたタオルを提案。
当時流行していた朝シャン(朝にシャンプーする)需要を見据えた商品で、
「発想が面白い」と評価され、様々な繊維素材を取り扱う旭化成との取引がスタート。
これを機に、新たな取引先の開拓へとつなげていきます。
1989年、有限会社くればぁを設立します。
ちょうど繊維業界が、中国など海外に生産拠点を移すようになり、
縫製の下請け事業だけでは経営が厳しくなってきていた時期でした。
「下請けの賃加工では成り立たない。メーカーにならなくては」と考え、
旭化成から仕入れた機能性素材メッシュクロスを、
得意な縫製技術で加工したアイデア商品で、下請けから脱却。
メーカーとしての業務を拡大していきました。
2004年 豊橋市大村町に本社工場購入
2005年 豊橋市大村町に本社移転
豊橋市より技術先端開発企業の認定を受ける
半導体を製造するクリーンルーム用の防塵繊維ウェアなど、
工業用のメッシュ加工も多数、手掛けるように。
取引先が多岐にわたるにつれて、
合成繊維、ステンレス、カーボンなど、メッシュの仕入れ先を増やし、
縫製はもちろん、樹脂成形などの加工も行うようになりました。
製造現場や医療用、環境防災用をはじめとする多様な業種・業態で、
当社独自の技術とソリューションを蓄積していきました。
2006年株式会社くればぁに商号変更
メッシュ加工「くればぁ」を一躍有名にしたのが、PM2.5対応のマスクです。
PM2.5とは、粒子の大きさが2.5 um以下の微小粒子状物質。
粒子が非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、
呼吸器系・循環器系への影響が心配されていました。
当時、家族の花粉症対策としてマスクの開発に取り組んでいた中河原は、
0.1 umという非常に細かい網目のメッシュをマスクに縫い付け、
PM2.5の微粒子を99%カットできる「高性能防塵マスク」を開発。
粒子が鼻と頬の間の隙間から侵入することを防ぐため、
鼻の高さや頬の広さなど顧客の顔の形に合わせたオーダーメイドも始めたところ、
累計20万枚以上の注文が殺到する、大ヒット商品となりました。
その後、マスクにさらなる改良を加えることで
花粉症や中国のPM2.5問題、さらにはコロナウィルス対策として
世界一細かいメッシュを製造できる圧倒的な技術力を持つ
「マスクのくればぁ」の知名度はさらにアップしています。
2007年ホームページを開設
さらに多くのお客様とコミュニケーションをとることができるように
2015年、豊橋商工会議所「ものづくり大賞」受賞
2016年「愛知ブランド企業」認定
2017年「地域未来牽引企業」に選定
モノづくりの業界で「価格訴求」と「価値訴求」という2極化が進むなか、
完全に価値訴求企業に舵を振り切った「くればぁ」。
お客様のお困りごとをぴったり解決する、豊富な高機能素材×高度な加工技術で、
世の中にない新しい価値を生み出すべく、多様な製品開発に励んでいます。
「困ったときに頼られる、できないと言わない会社をめざす」。
創業者の想いを引き継ぎ、2019年に石橋衣理が社長に就任。
開発や企画の専任者を置かず、
顧客のお困りごとや開発テーマによりチームを編成する方式を採用し、
さらなる生産性・品質・提案力の向上に努めています。
培った卓越した加工技術を活かして、お客様が求める製品の試作から取り組み、
お客様のニーズにぴったりな製品を提供。
1点ものの試作品から大量生産まで、敏速で小回りの効く提案型工場として、信頼を得ています。
2019年
中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出
「あいち女性輝きカンパニー」認定
2020年 豊橋市下地町に本社移転
グローバル戦略にさらに注力
海外向け通信販売を開始